仕事を続けながら妊活したとき、助かった工夫
この記事は、特定の個人の体験記ではありません。
仕事と妊活を同時に進めていた時期を振り返る人が「こういう工夫をしておいてよかった」と話すことの多い観点を、一般化して整理したものです。「特定の誰かの話」ではなく、似た状況にある多くの人に共通しやすい工夫として、以下をまとめました。ご自身の状況に合わせて、参考になる部分だけ取り出してください。
この時期に起きやすいこと
妊活中に仕事を続けていると、「こんなに複数のことを同時に気にするとは思っていなかった」と振り返る人がいます。
通院のタイミングが読めない。採卵や移植の後も、翌日には仕事が待っている。結果の判定日と大事な会議が重なる。職場に何をどこまで話すか、話さないとしたらどう乗り切るか。体のケアも、夫婦の時間も、仕事のパフォーマンスも、全部を同時に考えようとして、どこかで無理が出る。
そうした状況は珍しくありません。「段取りをすべてうまくできた」という話より、「いくつかの工夫を同時に走らせながら、それでも疲れていた」という振り返りのほうが実態に近い、という声があります。
この記事では、「うまくいった方法」を保証するものではなく、「こういう観点を持っておくと、少し動きやすかった」という声が多い工夫を整理しています。
通院日の段取りを前倒しで考えておく
妊活中の通院は、受診の前日または当日の朝に日程が決まることが多いと言われています。「次回は明後日の朝に来てください」という形が典型で、週単位で先の予定が立てにくいという声は珍しくありません。
こうした状況を経験した人が振り返るのは、「突発的に半日空けやすいコマを、あらかじめ週のどこかに作っておいた」という工夫です。具体的には次のような行動が挙げられます。
- 週の中で比較的調整しやすい曜日・時間帯を自分の中で把握しておく
- 社内で動かしにくい会議・締め切りを事前に把握し、その前後に余裕を持たせる
- 「急に半日対応が必要になることがある」という前提で、仕事の詰め込みすぎを意識的に避ける
これは職場への開示とは別の、個人の段取り上の工夫です。通院の存在を職場に話すかどうかは、後述の「伝える範囲を自分で決める」の項で整理します。
この観点で自分の状況を確認してみるなら: 今週の自分のスケジュールを見たとき、突発的に半日空けられる余地はあるか。
伝える範囲を自分で決める
妊活中に職場への開示をどうするか、という点で悩む人は多くいます。「話したほうが動きやすくなった」という声がある一方で、「話さないほうが余計な心配をされずに済んだ」という声もあります。どちらが正解という話ではなく、職場の環境や関係性によって判断が変わる問題です。
多くの人が共通して振り返るのは、「誰かに話すかどうかを、職場の空気や成り行きで決めるのではなく、自分で考えて決めた」という点です。どちらの選択をした場合でも、「自分が判断した」という感覚が持てたことが、その後の気持ちの落ち着きにつながったという声があります。
開示を検討するときに考えやすい観点として、次のようなものが挙げられます。
- その人に話すことで、自分が動きやすくなるか
- 話した場合、相手にどんな対応を期待するか(または期待しないか)
- 話さない場合、どう立ち回るか(通院理由をどう伝えるか等)
開示の是非は個人の判断です。この記事でどちらかを推奨することはありません。
この観点で自分の状況を確認してみるなら: 開示するかどうかを、「成り行き」ではなく「自分で決めた」と言える状態になっているか。
半休・時間単位休などの制度を事前に確認しておく
通院の日程が直前に決まりやすい以上、半日や数時間単位で休める仕組みがあるかどうかは、段取りに大きく関係します。
年次有給休暇の時間単位取得や、半日単位での取得が自社の就業規則でどう定められているかは、勤務先によって異なります。「制度があることを知らなかった」という声が比較的多く聞かれます。
具体的な取得ルール・申請手続き・上限日数などは勤務先の就業規則・人事担当窓口で確認してください。この記事では制度の詳細を断定しません。
また、不妊治療に関連する特別休暇を設けている企業もあります。制度の有無は各社の就業規則によります。国の関連施策については、厚生労働省の公式サイトで最新情報を確認できます。こちらも存在するかどうかは勤務先への確認が必要です。
この観点で自分の状況を確認してみるなら: 勤務先の就業規則で、時間単位・半日単位の有休取得が可能かどうかを確認したことがあるか。
結果待ちの日を「軽めの日」として設計しておく
採卵後・移植後・判定日前後など、気持ちが落ち着かない時間帯が仕事中に来ることがあります。「何も手につかないまま午後の会議があった」「ちょうど大事なプレゼンの日と重なった」という経験を持つ人の声は珍しくありません。
こうした日を完全に空けることは現実的でない場合もありますが、「可能な範囲で、判定日や結果が出そうな日には、負荷の大きいタスクを入れないようにしていた」という振り返りは多く聞かれます。
スケジュールを完全にコントロールすることは難しいですが、「この日は気持ちが揺れる可能性がある」と事前に把握して、一定の余裕を意識的に持っておく、という観点です。
この観点で自分の状況を確認してみるなら: 次の判定日や採卵・移植の後、その日のスケジュールに重いタスクが入っていないか。
信頼できる一人にだけ話しておく
「職場全体には話さないが、一人だけに話していた」という人は比較的多くいます。その相手として挙げられるのは、直属の上司・同じチームの同僚・人事担当者など、状況によりさまざまです。
全員に話さなくても、「この人には事情を知ってもらっている」という存在がいることで、急な調整が必要になったときに動きやすかった、という声があります。
ただしこれも、職場環境・関係性・個人の価値観によって変わります。「一人に話した結果、広まってしまった」という経験を持つ人もいます。この工夫が自分に合うかどうかは、その人の判断です。
この観点で自分の状況を確認してみるなら: 急な調整が必要になったとき、一言声をかけられる人が職場に一人でもいるか。
複数のことが同時に走っていた感覚、について
妊活中は「仕事でもミスができない」「体も万全にしなければ」「夫婦の時間も大切にしなければ」という複数の「ちゃんとしなければ」が同時に走りやすい時期と言われています。
後から振り返ったとき、「あの時期は工夫が足りなかったというより、そもそも工夫が間に合わないくらい、いろんなことが重なっていた」という声があります。それは段取りが悪かったということではなく、その時期の構造的な難しさだった、という整理をする人もいます。
「完璧にしようとするほど、どこかで無理が出た」「手を抜けるところは意識的に手を抜くようにした」という振り返りもあります。何を優先して、何を一時的に後回しにするか。この問いを自分なりに持っておくことを、後から役立ったと振り返る人がいます。ただし全員に当てはまるものではありません。
「完璧にやろうとしていた自分に、もう少し許してやればよかったと思う」という言葉が、この時期を経た後に出てくることは珍しくありません。
この観点で自分の状況を確認してみるなら: 今、何かを「手を抜いてもいい」と決めることができるものがあるか。
つらさが続く場合
仕事と妊活の両立を続けるなかで、気持ちの落ち込みや疲弊感が続く場合は、一人で抱え込まずに専門家への相談を検討してください。
- 不妊治療中のこころのケアについては、主治医や通院中の医療機関のスタッフに相談することができます
- 職場のストレスや働き方について悩む場合は、産業医・EAP(従業員支援プログラム)・社内の相談窓口なども選択肢になりえます(勤務先に設置があるかどうかはご確認ください)
- 公的な相談窓口として、都道府県が設置する不妊専門相談センターがあります(最新の設置状況は各都道府県の公式情報をご参照ください)
この記事で紹介した工夫は、読者一人ひとりの状況に合ったものとは限りません。つらさが強い場合や、体・こころに不調を感じる場合は、医療機関への受診や専門家への相談を優先してください。
よくある質問
Q1. 職場に妊活・不妊治療のことを話す義務はありますか?
開示の義務があるかは、法律・就業規則・個別の状況により判断が異なります。具体的な権利・義務については、勤務先の人事担当窓口や社会保険労務士・弁護士にご確認ください。なお、開示するかどうか・どこまで話すかは、本人の判断です。休暇取得や業務調整の際に具体的な手続きが必要な場合は、勤務先にご確認ください。
Q2. 不妊治療中に使える休暇制度はありますか?
年次有給休暇の時間単位・半日単位取得、または不妊治療に関する特別休暇を設けている企業があります。ただし制度の有無・取得条件・申請方法は勤務先によって異なります。自社の就業規則や人事担当窓口でご確認ください。
Q3. 通院日程が直前に決まることが多いのはなぜですか?
不妊治療の多くは、その周期の体の状態(ホルモン値・卵胞の大きさなど)を診ながら次のステップを決める性質があります。そのため、「次回いつ来てください」が数日前や前日に決まるケースが少なくないと言われています。詳しくは通院中の医療機関にご確認ください。
Q4. 仕事のパフォーマンスが落ちていることへの罪悪感が強い場合はどうすればよいですか?
こうした罪悪感を感じる人は珍しくありません。妊活中の負荷は、外から見えにくいぶん、「なぜ自分だけうまくできないのか」と自己嫌悪になりやすいという声もあります。気持ちのつらさが長く続く場合は、医療機関のスタッフ・カウンセラー・相談窓口など、専門家に話を聞いてもらうことを検討してください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、医療上の助言や診断ではありません。記載している制度・手続き・相談窓口の詳細は、勤務先・各公的機関・医療機関の公式案内でご確認ください。個別の症状・治療方針・法律・労務の判断については、医師・専門家にご相談ください。最新の情報は公式の案内でご確認ください。