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男性不妊の原因と検査で分かること

ペールブルーグレーの水彩背景に置かれた円形のコンパス(方位磁針)のイラスト ― 男性不妊の原因と検査で分かることを整理する

男性自身、あるいはパートナーとともに「男性側の状態も一度調べた方がいいのかな」と思い始めたとき、何から手をつければいいのか分からないことは珍しくありません。

どちらが調べればいいのか、誰に相談するのか、まだ言葉にしにくいままで読んでいただいても構いません。おふたりで「どこから話せばいいか分からない」と感じたまま、ここにたどり着いた方もいると思います。

男性不妊の原因には3つの分類があり、最初のステップとなる検査も決まっています。診断や治療方針は医療機関が判断するものですが、全体の見取り図を先に知っておくと、初めての受診で医師の話を少し落ち着いて受け止めやすくなります。

男性不妊とは?不妊全体における男性側の関与

まず前提として、不妊を「女性側の問題」と限定するのは正確ではありません。

こども家庭庁がWHO調査を引用した情報によると、不妊に悩むカップルのうち男性のみに原因があるケースと、男女ともに原因があるケースを合わせると、約半数のカップルで男性にも関係する原因が認められると考えられています。

つまり、妊娠に至らない場合に男性側の状態も確認することは、自然な選択肢の一つです。責任の帰属を示すものではなく、「おふたりで状況を把握する」という考え方で受け止めていただければと思います。

(参考:こども家庭庁「男性不妊について」、日本産科婦人科学会「不妊症」)

男性不妊の原因は大きく3つに分類される

男性不妊の原因は、医学的に大きく3つに分けられています。以下の分類と割合は、こども家庭庁が紹介する厚生労働省研究班(2015年度)のデータです。最新の研究では数値が異なる場合があります。また、これらの数値は「どの原因が多いか」を把握するための参考情報であり、個別の状況は医療機関で確認してください。

造精機能障害

精子をつくる機能(造精機能)に問題がある状態です。男性不妊全体の約8割を占めると考えられており、最も多い分類です。

造精機能障害の中でも、精索静脈瘤(陰嚢内の静脈が拡張する状態)が原因の一つとして最も多くみられると報告されています(日本泌尿器科学会)。その他にも、ホルモン分泌の異常や染色体の変異、過去の精巣炎などが関係することがあります。

また、造精機能障害の中には原因が特定できないケース(特発性)も多く含まれます。

精路通過障害と無精子症

精子はつくられているものの、精子が通る管(精路)が詰まっているために精液中に精子が出てこない状態です。全体の約4%に相当するとされています。

精路通過障害が原因の場合、精液検査では精子がみられない「無精子症」(精液中に精子が確認できない状態)として確認されることがあります。無精子症には、精路の通過障害による「閉塞性無精子症」と、精子がほとんどつくられていない「非閉塞性無精子症」の2種類があり、原因と対応が異なります。詳しくはFAQも参照してください。

性機能障害

勃起や射精がうまくいかない状態です。心理的な要因が関わる場合もあれば、身体的な要因が関わる場合もあります。全体の約1割強を占めるとされています。


これらの分類は、どれが「重い・軽い」という意味ではなく、原因の種類を整理するためのものです。まだ検査を受けていなければ、どれに当てはまるかはまだ分かりません。ただ、こういう種類があると知っておくだけで、最初の受診で医師の話を少し落ち着いて聞けることがあります。実際にどの分類に当てはまるかは、検査を経て医師が判断します。

男性不妊の検査の全体像

男性不妊の状態を調べる検査には、段階があります。最初の一歩は精液検査です。

精液検査(最初のステップ)

精液検査は、精子の量・動き・形態などを調べるもっとも基本的な検査です。日本泌尿器科学会も「まずは精液検査で調べる」と案内しています。

精液検査は、医療機関の専用採取室での採取が理想とされています。一度の結果だけでは判断が難しいことがあり、状態によって複数回確認することがあります。

精液検査の具体的な手順・各項目の内容・費用については、受診先の医療機関に直接確認してみてください。

精液検査以外の検査

精液検査の結果をふまえて、必要に応じて以下のような検査が検討されることがあります(日本泌尿器科学会)。

  • 超音波検査:精索静脈瘤の有無などを調べる。立位(立った状態)での観察が診断に重要とされる
  • ホルモン検査:FSH(卵胞刺激ホルモン)などの血液検査。数値の傾向から精巣機能や視床下部・下垂体の状態を確認する材料になる
  • 触診:精巣の大きさや精索の状態を確認する
  • 染色体検査・Y染色体微小欠失検査:無精子症や重度の造精機能障害が疑われる場合に、精密検査として実施されることがある

どの検査が必要かは状況によって異なります。一度の精液検査の結果だけで全てが決まるわけではありません。

受診先は泌尿器科が窓口

男性不妊の検査・診察は、泌尿器科の専門外来が窓口になります(日本泌尿器科学会)。不妊治療を専門とするクリニックでも男性の検査を行っているところがあります。

パートナーが不妊治療クリニックに通院中であれば、同じ施設で男性側の精液検査を行えるか確認してみるのも一つの方法です。

こども家庭庁も「精液検査で異常が認められた場合は、より専門的な病院での精密検査が推奨される」と案内しています。精液検査の結果に応じて、泌尿器科の専門外来への紹介や受診を検討することになります。

生活習慣に関してよく言われること

精子は生活環境の影響を受けやすいとされており、こども家庭庁(プレコンセプションケア)も生活習慣に関する情報を紹介しています。ただし、個々の習慣が精子の状態にどの程度影響するかは個人差があり、生活を変えれば必ず状態が変わるわけではありません。参考情報として把握しておく程度にとどめ、具体的な対応は医師に相談してください。

こども家庭庁が紹介している情報として、喫煙・過度な飲酒・肥満・慢性的な睡眠不足や運動不足・高温環境(長時間のサウナ・熱い入浴・膝上でのPC操作・締め付ける下着など)が精子の状態と関連する可能性が指摘されています。

なお、こども家庭庁は男性も加齢によって精子の状態が変化することを紹介しています。気になることがある場合は、まず医療機関に相談してみてください。

(参考:こども家庭庁「実は男性にも原因がある?知ってほしい男性不妊とは?」プレコンセプションケア)

保険適用について

2022年4月に不妊治療への保険適用が拡大され、精液検査などの男性不妊に関わる検査の一部が保険診療の対象となりました(2022年時点。こども家庭庁、厚生労働省が案内)。制度の対象範囲や自己負担額は、制度改定や加入の医療保険の内容によって異なります。最新の条件は医療機関または加入の保険者にご確認ください。

(参考:こども家庭庁「不妊症・不育症へ向き合いやすく 保険診療の基礎知識」)

FAQ(よくある質問)

Q. 男性側の検査は、どのタイミングで受けるべきですか?

一般的に、不妊は「避妊をせずに性交していたにもかかわらず1年間妊娠しない場合」を目安とすることがあります(日本産科婦人科学会)。ただし、1年を待つ必要が必ずあるわけではなく、女性側の年齢や状況によって早めに受診を検討する場合もあります。男性側の検査は比較的早い段階でも受けられるものです。いつ受けるかは、かかりつけ医や不妊治療クリニックに相談してみてください。

Q. 男性側の検査はパートナーと一緒に受けるものですか?

必ずしも一緒でなくても受けられます。男性のみで泌尿器科を受診して精液検査を受けることも可能です。パートナーが通院中のクリニックと連携することで、おふたりの状況をまとめて把握しやすくなる場合もあります。どのように進めるかは、通院先の医療機関に問い合わせてみてください。

Q. 精索静脈瘤とはどういう状態ですか?

精索静脈瘤は、陰嚢内の静脈が拡張した状態で、造精機能障害の原因の中で最も多くみられるものの一つとされています(日本泌尿器科学会)。超音波検査(立位での観察)で確認できることがあります。精索静脈瘤が確認されても、状況によっては経過観察を選ぶことがあります。治療の要否・方針は医師が判断するため、自己判断せず専門外来(泌尿器科)にご相談ください。

Q. 精液検査で「精子がいない(無精子症)」と言われた場合はどうなりますか?

無精子症には、精路の通過障害による「閉塞性」と、精子がほとんどつくられていない「非閉塞性」の2種類があり、どちらの状態かによって次のステップで検討される内容が大きく異なります。対応の内容や可能性は個別の状況によって大きく異なるため、一人で判断するより専門外来で話を聞いてみることが、次の視野を広げる手がかりになります。泌尿器科の専門外来に状態を確認してみてください。

次の一歩

ふたりで検査について話し合いたい方パートナーが検査に前向きでないとき、どう話す?男性側の不妊検査の基本に、検査を話し合うための視点をまとめています。

妊活全体の検査の種類を知りたい方妊活で受ける検査には何がある?最初に知っておきたい一覧で、女性・男性それぞれの検査の全体像を整理しています。

また、必要であれば以下もご覧ください。

男性側の生活習慣を見直したい方男性側の生活習慣で見直したいことは?ふたりで取り組む妊活の入口もあわせてご覧ください。

受診のタイミングを整理したい方妊活で病院はいつ行く?受診を考える目安を整理もあわせてご覧ください。

検査の次、治療の流れを知りたい方不妊治療のステップと流れ全体像で、治療の各段階を整理しています。

本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言や診断ではありません。体調や治療に関する判断は医療機関にご相談ください。制度・費用・保険の内容は変わることがあるため、最新の情報は公式の案内でご確認ください。

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