お金と制度

妊活にかかるお金の全体像、何に備えると安心?

開いた家計ノートと封筒の水彩イラスト ― 妊活にかかるお金の全体像を整理

妊活にどれくらいお金がかかるのか、最初はなかなか見えてきません。自己流の段階と通院後では負担の出方が変わり、制度まで含めると何から確認すればよいか迷いやすくなります。費目ごとの自己負担の目安から、カバーされない部分、家計の整え方まで、おふたりの今の状況にあわせて確認してみてください。

結局いくら?まず大づかみに

費用感をつかむ前に、まず3つの事実を押さえておくと見通しが立てやすくなります。

  • 保険適用前(〜2022年3月)の体外受精:1周期あたりの医療機関への請求額の平均はおおよそ50万円程度で、施設や内容によって40〜100万円程度の幅があったとされています(厚生労働省委託の調査研究2020年度より)。
  • 保険適用後(2022年4月〜、原則3割負担)の体外受精:採卵+新鮮胚移植で約10万円前後、採卵+凍結融解胚移植を含む場合は約15〜25万円程度になるとされることがあります(診療報酬点数に基づく試算・モデル例。薬の種類・採卵個数・凍結の有無で変動します)。
  • 特に費用が大きい・変動しやすい項目:調節卵巣刺激薬が約3〜7万円/周期程度、先進医療の技術料は全額自費(高額療養費の対象外)、保険の回数・年齢の上限(43歳未満。40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回という区分があります)を超えた後や43歳以上の治療も全額自費となります。

いずれも目安であり、実際の費用は施設・治療内容・状況によって異なります。体験談の金額をそのままおふたりに当てはめないことが大切です。

費目別の自己負担の目安(2022年4月〜)

保険診療の費目別・自己負担の目安をまとめました。

費目 自己負担の目安(1周期・1回) 主な要件・備考
タイミング法 数千〜1万円程度 保険適用あり(一般不妊治療の範囲)。診察・超音波検査等を含む場合が多い
人工授精 約0.9〜1.5万円程度 保険適用あり。処置内容・施設で変わる
体外受精(採卵+新鮮胚移植) 約10万円前後 保険適用あり。年齢・回数要件あり。薬・採卵個数で変動
体外受精(採卵+凍結融解胚移植) 約15〜25万円程度 凍結・融解費用が加わる。施設・薬の内容で幅が大きい
調節卵巣刺激薬 約3〜7万円程度 薬の種類・量・期間で変動。治療費の中で比重が大きい

診療報酬点数に基づく概算です(2022年4月〜、原則3割負担時のモデル例)。治療内容・薬の種類・採卵個数・施設により変わります。診療報酬点数は定期的に改定されます(直近は2024年度)。本表は記事作成時点の目安であり、最新の費用は必ず受診先でご確認ください。

先進医療・自費診療の参考

先進医療は、保険診療と組み合わせて行う場合でも技術料は全額自費となります。以下は参考の目安です。公定価格はなく、施設によって大きく異なります。

技術(参考) 費用の目安(全額自費) 高額療養費
タイムラプス培養 約3〜4万円程度 対象外
ERA(子宮内膜受容能検査) 約13〜15万円程度 対象外
TRIO(ERA+EMMA+ALICE) 約20万円程度 対象外

公定価格がなく、施設によって大きく異なります。参考の目安であり、記事作成時点のものです。先進医療の技術料は高額療養費制度の対象外です。実際の費用は必ずクリニックでご確認ください。

特に費用が増えやすいのは?

保険適用後も、周期の状況によっては費用が大きくなりやすい場面があります。

調節卵巣刺激薬

体外受精では、採卵数を確保するために注射等の調節卵巣刺激薬を使う場合があります。処方する薬の種類・量・期間によって1周期で数万円単位の負担になることがあります。表の目安(約3〜7万円程度)でも幅が大きく、状況によってはさらに変わります。

採卵個数と凍結

採卵した卵子・胚の個数によって加算費用が変わる場合があります。複数個を凍結する場合や、凍結卵を使った融解胚移植を繰り返す場合は、保管料・融解費用も加わります。1周期で完了しない場合は、複数周期分の費用が積み上がっていきます。

先進医療の技術料

先進医療の技術料は、保険診療と並行して行う場合でも全額自費で、高額療養費制度の対象外です。技術によっては1回あたり数万〜20万円程度になることがあります。取り扱いの有無や費用はクリニックによって異なるため、必要かどうかも含めて受診先で確認することが出発点になります。

保険の回数・年齢の上限を超えた後

公的医療保険による不妊治療には、年齢と回数に上限があります(43歳未満・通算回数制限。40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回という区分があります)。この上限を超えた後、または43歳以上の治療は全額自費となります。要件の詳細は変わることがあるため、受診する医療機関または厚生労働省・こども家庭庁の最新案内でご確認ください。

公的でカバーされない部分

高額療養費制度は、公的医療保険が適用される治療の自己負担分にのみ適用されます。おふたりの状況によっては、以下のような費用が制度の外になることがあります。

  • 先進医療の技術料:保険診療と組み合わせても技術料は全額自費で、高額療養費の対象外です。
  • 保険の回数・年齢の上限を超えた後、または43歳以上の治療:要件を超えた後は、治療自体が全額自費となります。
  • 通院交通費・仕事の調整に伴う費用:交通費や、通院のための休暇取得に伴う収入への影響は制度の対象外です。
  • 男性側の検査・治療の一部:男性不妊の検査・治療にも保険適用されているものがありますが、すべてが対象になるわけではありません。施設でご確認ください。

カバーされる部分と、されない部分を分けて把握しておくと、全体の見通しが立てやすくなります。

使える制度と確認先

公的制度・自治体情報

妊活や不妊治療に関わる制度は、国の仕組みと自治体独自の支援で内容が異なることがあります。対象条件・申請方法は変わることがあるため、確認するときは最新の一次情報を前提にします。

住んでいる自治体の案内や、受診先の医療機関で案内される情報もあわせて確認すると、地域の支援状況が把握しやすくなります。制度名を覚えるより「どこで最新情報を見るか」を先に決めておくと整理がしやすいです。

勤務先の休暇や補助

見落としやすいのが、勤務先独自の制度です。休暇の扱い、時間単位での休みの取りやすさ、費用補助の有無などは会社ごとに異なります。人事制度・福利厚生の案内を見直しておくと確認の手間が省けます。パートナーの勤務先も含めて見ると、選択肢が広がることがあります。

民間保険

民間保険は、すべての人に同じ形で関係するわけではありません。商品ごとに保障対象・加入条件・除外事項が異なるため、一般論だけで判断しないほうが確実です。

確認するときは、以下の観点を分けて見ておくと比べやすくなります。

  • 加入のタイミング:治療中・通院後では加入条件が変わる場合があります。
  • 告知の必要性:治療中・通院歴について告知が必要な場合があります。
  • 先進医療特約の有無と上限:先進医療の技術料を補う特約があるかどうか、上限額はいくらかを確認します。
  • 約款の「手術」の定義:採卵・胚移植が「手術」に含まれるかどうかは商品によって異なります。

給付の有無や条件は商品ごとに異なります。商品説明だけでなく、条件の細部まで確認する視点が必要です。

不安を減らす家計の整え方

妊活では、「いくら必要か」だけでなく「どう向き合うか」を決めておくことが安心につながります。

月ごとの上限を決める

最初から総額を決めるのが難しいときは、まず月ごとの上限を決める方法があります。上限があると、毎回の支出を考えやすくなります。厳密でなくてもかまいません。「今月はここまで」をおふたりで共有するだけでも、家計の先が見えてきます。

夫婦で優先順位を合わせる

妊活のお金は、ひとりで抱えると負担感が大きくなりやすいです。何にお金をかけたいか、どこは抑えたいかを話し合っておくと、後からすれ違いが起こりにくくなります。「通院費は別で管理する」「サプリは必要性を見ながら考える」といった整理でも十分です。テーマを分けて話すと、お金の話がしやすくなります。

領収書やメモを残す

支出を見直しやすくするには、領収書や家計メモを残しておくと便利です。あとから「何にどれくらい使ったか」が確認しやすくなり、次の月の見通しも立てやすくなります。妊活に関係する支出を一か所にまとめておくだけで、整理が楽になります。

まとめ

妊活にかかるお金は、保険診療・先進医療・自費診療で費用の出方と制度の使える範囲が変わります。2022年4月から公的医療保険が適用され、体外受精などの自己負担は以前より大きく下がりました。ただし費用は、診療報酬点数の改定や治療内容によって変わります。ただし、先進医療の技術料・保険の回数や年齢の上限を超えた後・通院交通費などは制度のカバー外です。

カバーされる部分と、されない部分を分けて把握することが、見通しを立てる出発点になります。具体的な費用は受診するクリニックや健康保険組合で確認することが必要です。おふたりの今の段階に合わせて、一つずつ確認してみてください。

よくある質問

Q1. 妊活では毎月どんな費用がかかりやすいですか?

通院前でも、記録に使うもの、検査薬、サプリなど、毎月続きやすい支出があります。金額は選ぶものや続ける期間で変わるため、まずは「毎月かかりやすいもの」を分けて把握するところから始めると全体像がつかめます。

Q2. 通院を始めると、どんなところでお金が増えやすいですか?

診察や検査の費用に加えて、交通費、仕事との調整に伴う負担など、周辺の支出も増えやすくなります。医療費だけでなく、通院回数や生活への影響も含めて見ると、実感に近い整理になります。

Q3. 妊活で使える制度や保障は、どこから確認すればいいですか?

まずは公的情報、住んでいる自治体の案内、勤務先の制度案内を確認し、そのうえで民間保険の商品条件を見比べる流れが整理しやすいです。制度は対象条件や更新時期があるため、最新の一次情報を前提に確認することが大切です。

Q4. 体外受精の費用の目安はありますか?

費目別の目安は本文の表をご参照ください。要点として、2022年3月以前(保険適用前)は医療機関への請求額ベースで平均おおよそ50万円程度(施設・内容によって40〜100万円程度の幅)とされていました(厚生労働省委託の調査研究2020年度より)。2022年4月以降は公的医療保険が適用され、原則3割負担となり費用感は大きく変わっています。実際の費用は治療内容・クリニック・状況によって異なります。

Q5. 保険適用後の治療に高額療養費制度は使えますか?

公的医療保険が適用される不妊治療については、高額療養費制度の対象となる場合があります。月ごとの自己負担に上限が設定される仕組みで、収入や加入保険の種類によって上限額が変わります。詳細は加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)にご確認ください。なお、先進医療の技術料は高額療養費制度の対象外です。

Q6. 公的医療保険でカバーされない費用には、どんなものがありますか?

主なものとして以下があります。

  • 先進医療の技術料(保険診療と組み合わせても全額自費・高額療養費の対象外)
  • 保険の回数・年齢の上限を超えた後、または43歳以上の治療(全額自費)
  • 通院交通費・仕事の調整に伴う収入への影響

カバーされる部分と、されない部分を分けて把握しておくと、見通しが立てやすくなります。

Q7. 民間の保険は、妊活の費用の備えになりますか?何を確認すればよいですか?

役立つかどうかは商品・加入条件・保障内容によって異なり、一概には言えません。確認するときは以下の観点を分けて見ておくと比べやすくなります。

  • 加入のタイミング(治療中・通院後では条件が変わる場合がある)
  • 告知の必要性(治療中・通院歴の告知が求められる場合がある)
  • 先進医療特約の有無と上限額
  • 約款の「手術」に採卵・胚移植が含まれるかどうか

給付の有無・条件は商品によって異なります。必ず商品説明と約款の細部をご確認ください。


本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言や診断ではありません。体調や治療に関する判断は医療機関にご相談ください。制度・費用・保険の内容は変わることがあるため、最新の情報は公式の案内でご確認ください。

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