妊活中のメンタル、相談窓口の種類と選び方
妊活や不妊治療を続けていると、検査結果の一喜一憂、治療のペース、パートナーとのすれ違い、仕事との調整……さまざまな場面で気持ちが重くなることがあります。それでも「まだ大丈夫」「もう少し自分でがんばれる」と思いながら、気づいたら長い間一人で抱えていた、という方も少なくありません。
この記事は、相談することを急がせるものではありません。「どんな妊活メンタルの相談窓口があるか」を事前に知っておくことで、必要と感じたときに動きやすくなる、そのための情報整理です。
精神的な負担を感じることは珍しくない
妊活・不妊治療中の精神的な負担については、こども家庭庁が公式に「心理的サポートの重要性」を位置づけています(こども家庭庁「不妊治療に関する取組」)。不妊治療は通院スケジュールの管理、仕事との調整、治療結果への向き合いが重なる期間が続くことがあり、気持ちに余裕が持てなくなる方がいます。
精神的な負担を感じることは、こうした状況では珍しくありません。「弱いから悩む」わけではなく、状況によってそうなりやすい局面があります。
気持ちの整え方の基本については、妊活で気持ちが疲れたとき、まず整えたい考え方もあわせてご覧ください。
相談窓口の種類を整理する
一口に「相談」といっても、形はいくつかあります。自分の状況や話したいことの種類に応じて、合う窓口が変わってきます。
なお、窓口の対応時間・連絡先・料金は変更される場合があります。最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
公的機関の相談窓口(無料)
こども家庭庁は、都道府県・指定都市・中核市などを通じて「性と健康の相談センター」を設置しています。不妊症・不育症についての専門的な相談を受けることができ、保健師・助産師・看護師・心理士などが対応しています。相談は基本的に無料です(自治体によって内容が異なる場合があります)。
窓口の所在地や対応内容はお住まいの自治体によって異なります。最新の窓口一覧は、こども家庭庁「性と健康の相談センター事業の概要」のページからご確認ください。
ピアサポート(同じ経験を持つ方との対話)
「ピアサポート」は、同じような経験を持つ方が話を聞いてくれる形式の相談です。医療専門職とは異なりますが、「経験した人ならではの言葉で話せる」という特徴があります。パートナーと一緒に利用できる窓口や、男性単独での相談を受け付けている窓口もあります。
国は、令和3年(2021年)度から「不妊症・不育症ピアサポーター育成研修事業」を実施しており(当初は厚生労働省委託事業として開始、現在はこども家庭庁が所管)、ピアサポートが公的な支援体制のひとつとして位置づけられています。
各都道府県の相談センターや都道府県委託窓口でピアサポートが提供されている場合があります。お住まいの自治体の相談センターへお問い合わせください。
東京都の例として、東京都福祉局が「不妊・不育ホットライン」を設置しており、ピアカウンセラーが対応しています(男性も相談可能)。電話番号・開設時間は変更されることがあるため、最新情報は東京都福祉局のサイトでご確認ください。
NPOによるピアカウンセリング(民間・一部無料)
都道府県の相談センターが案内している民間NPOや、各自治体が委託している団体がピアカウンセリングを提供している場合があります。一例として、NPO法人Fineが「不妊ピア・カウンセリング」を提供しており、不妊を経験した方がカウンセラーとして対応する形式で、電話相談・オンライン相談・グループ相談など複数の形態があります。
無料・有料が混在しており、お住まいの自治体によっては自治体委託の無料枠があります。詳細はFine公式サイトでご確認ください。
特定の団体を唯一の選択肢として推薦するものではありません。まずお住まいの自治体の相談センターに問い合わせ、紹介を受ける形もひとつの方法です。
専門カウンセラー(不妊カウンセラー・生殖心理カウンセラー)
不妊分野に特化した専門の相談員として、以下の資格があります。
- 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター:日本不妊カウンセリング学会が認定する資格です(不妊カウンセラーと体外受精コーディネーターは同学会が認定する別区分の資格です)。全国の医療機関・クリニックなどで活動しており、同学会のウェブサイトで都道府県・施設名から検索できます。
- 生殖心理カウンセラー:日本生殖心理学会が認定。臨床心理士・公認心理師を対象とした専門資格です。同学会のサイトで名簿を確認できます。
2022年4月の不妊治療の保険適用開始に伴い、体外受精などの生殖補助医療(ART)を実施する施設には患者からの相談に対応する担当者の配置が求められるようになりました(厚生労働省の診療報酬に基づく要件ですが、対応内容は施設ごとに異なります)。通院中のクリニックに相談担当者がいるかどうかは、受診時に直接ご確認ください。
また、オンライン形式でカウンセリングを受けられる窓口も存在します。対面での相談が難しい場合の選択肢として、お住まいの自治体の相談センターや通院中のクリニックに確認してみてください。
こころのつらさが続くとき
不妊に特化した窓口だけでなく、気持ちのつらさが続いたり、精神的な負担が大きくなっている場合は、一般的なこころの相談窓口を活用することもできます。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、さまざまな相談窓口が案内されています。不妊専門の窓口ではありませんが、こころ全般の負担を抱えているときの選択肢として参照してください。つらさが強いと感じるときは、かかりつけ医や医療機関への相談も選択肢として持っておいてください。
相談するかどうかを考えるときの見方
「相談するほどのことかわからない」「何を話せばいいかわからない」という場合もあるかと思います。
相談は、何かを決めることや解決策を求めることだけが目的ではありません。今の状況を整理したり、話すことで気持ちの輪郭を確かめる場として使う方もいます。相談が自分に合うかどうかは、実際に話してみるまでわからない面もあります。「まず一度だけ話してみる」という使い方でも構いません。
一方、すべての窓口が自分の状況に合うとも限りません。合わないと感じたら、別の形式・別の窓口を試すことも選択肢のひとつです。
どこにも相談しないという選択も含めて、自分のペースで決めてよいものです。
よくある質問
Q. 通院中のクリニックに相談担当者がいるかどうかがわかりません
体外受精などの生殖補助医療(ART)を実施する施設では、2022年4月の保険適用開始に伴い、患者からの相談に対応する担当者の配置が求められるようになりました(厚生労働省の診療報酬に基づく要件ですが、対応内容は施設ごとに異なります)。受診時に「相談できる担当者はいますか」と確認してみるのがひとつの方法です。
Q. 公的窓口の相談は無料ですか?
こども家庭庁が都道府県・指定都市・中核市などを通じて設置する「性と健康の相談センター」の相談は、基本的に無料です。ただし、窓口の所在地・対応時間・対応方法はお住まいの地域によって異なります。こども家庭庁のサイトから最新の窓口一覧をご確認ください。
Q. ピアサポートと専門カウンセラーは何が違いますか?
ピアサポートは、同じ経験を持つ方が話を聞く形式で、共感や傾聴を中心とした対話です。専門カウンセラー(不妊カウンセラー・生殖心理カウンセラーなど)は、専門資格を持った相談員が不妊・妊活に関する悩みを整理する形式です。どちらが自分に合うかは、話したい内容や目的によって変わります。パートナーと一緒に利用できる窓口や男性単独で相談できる窓口もあります。
Q. 気持ちのつらさが強い場合、まず何をすればいいですか?
気持ちのつらさが強く続く場合は、不妊専門の窓口に加え、一般的なこころの相談窓口も活用できます。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では複数の相談先が紹介されています。つらさが強いと感じるときは、かかりつけ医や医療機関への相談も選択肢として持っておいてください。
次の一歩
気持ちを整理したい方:妊活で気持ちが疲れたとき、まず整えたい考え方や妊活中に自分を責めてしまうとき、その気持ちはおかしくないもあわせてご覧ください。
パートナーとの気持ちの共有が難しいと感じている方:パートナーに気持ちをうまく伝えられないときの言い換え例も参考にしてください。
続けるかどうかを含めて整理したい方:妊活を続けるか迷うとき、整理したい判断軸をご覧ください。
本記事は情報の整理を目的とするものであり、医療助言や特定のカウンセリングを推薦するものではありません。窓口の対応時間・連絡先・料金は変更される場合があるため、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言や診断ではありません。体調や治療に関する判断は医療機関にご相談ください。制度・費用・保険の内容は変わることがあるため、最新の情報は公式の案内でご確認ください。