生活と体づくり

冷えが気になるとき、妊活中はどう考える?

畳んだウールソックスの水彩イラスト ― 妊活中の冷えとの付き合い方

妊活中に「体が冷えていると良くないのでは」「もっと温活しなければ」と気になっている方は少なくありません。インターネットや雑誌で「冷えと妊活」に関する情報を目にすることも多く、不安になりやすいテーマです。

この記事でお伝えしたいことは二つです。一つは、「冷えが不妊の原因になる」という主張は現時点で科学的に支持されていないこと。もう一つは、冷えが続くと月経痛・月経不順・疲れ・むくみなど日常の不快症状につながることがあるため、快適に過ごすための体調管理として取り組める具体的なことがあること、です。

「冷えると妊娠しにくい」は科学的に確認されていない

まず、最も重要なことをお伝えします。

「冷え性だと妊娠しにくい」「冷えが不妊の原因になる」という主張は、現時点では公的機関によって科学的に支持されていません。

日本産科婦人科学会が示している不妊の主な原因(排卵障害・卵管因子・子宮因子・男性因子など)のリストに、「冷え」は含まれていません。また、「温活によって妊娠率が上がる」ことを直接示した信頼性の高い研究(ランダム化比較試験など)も、現時点では確認されていません。

冷えが気になっているからといって、「そのせいで妊娠できていない」と自分を責める必要はありません。

冷えが続くと、体に不快症状が出やすくなることはある

冷えと不妊の直接的な因果関係は確認されていませんが、冷えが続くことで、日常の体調に影響が出ることはあります。

厚労省研究班が監修する健康情報サイト「ヘルスケアラボ」は以下のように整理しています。

  • 女性は男性に比べて筋肉量が少なく、体の熱を作りにくい傾向がある
  • 冷房の効いた環境・薄着・運動不足・冷たい飲食物などが重なると、自律神経による体温調節が働きにくくなることがある
  • 冷えが続くと、月経痛・月経不順・肩こり・疲れ・むくみなどの不調につながることがある

妊娠しやすさとは別の話ですが、月経の乱れや体のだるさは毎日の生活の質に関わります。「妊娠のため」と気負わず、「快適に過ごすため」の体調管理として、今日からできることを一つずつ見てみましょう。

今日からできる体調管理:4つの習慣

1. 入浴――ぬるめの湯船に浸かる

シャワーだけで済ませる日が続くと、体の表面は洗えても深部まで温まりにくいことがあります。

目安として、38〜40℃程度のぬるめのお湯に10〜15分ほど浸かると、体が温まりやすくなると言われています。熱めのお湯は体への負担になることもあるため、「少しぬるいかな」と感じる程度が長く続けやすい目安です。就寝の1〜2時間前に入浴すると、その後の体温低下が眠気につながりやすく、睡眠の質も整いやすくなります。

忙しい日は短くても構いません。湯船に浸かること自体を習慣にすることが大切です。

2. 服装――冷えやすい部位を意識して温める

冷えを感じやすい部位は人によって異なりますが、首・手首・足首・お腹まわりは、薄い皮膚の下を太い血管が通っているため、外気温の影響を受けやすい部位です。

羽織りもの・腹巻き・レッグウォーマー・靴下などを活用し、これらの部位を意識して温めることで、体全体の冷えを和らげやすくなります。冷房の強いオフィスや電車内では、小さく折りたためるストールやカーディガンをバッグに入れておくと、脱ぎ着して調整しやすくなります。

素材は、吸湿・保温性のある綿や毛素材が肌への刺激が少なく、長時間つけていても負担になりにくいとされています。

3. 運動――筋肉を動かして熱を作る

筋肉は体の熱を生み出す主要な場所です。運動習慣がない場合、体が熱を作りにくくなることがあります。

激しい運動でなくても構いません。1日10〜20分程度のウォーキングや軽いストレッチを日常に組み込むことが、継続しやすい出発点です。ふくらはぎは血液循環に関わる筋肉が集まる部位とされており、立ったままできるかかと上げ運動(両かかとをゆっくり上げ下げする)なども取り入れやすい方法のひとつです。

「毎日続けなければ」とプレッシャーを感じる必要はありません。できる日に、できる範囲で続けることを優先してください。

4. 食事――温かいものを取り入れ、冷えすぎを避ける

食事の面で意識しやすいのは、冷たい飲食物を一度に大量に取らないことと、温かい汁物・飲み物を一日の中に取り入れることです。

朝に温かいスープや味噌汁・白湯を飲む習慣は、体を内側から温めるきっかけになりやすく、取り入れやすい方法のひとつです。冬だけでなく、夏も冷房環境で体が冷えやすいため、冷たい飲み物を飲み続ける習慣は一度見直してみる価値があります。

特定の食材や成分に頼るのではなく、野菜・たんぱく質・炭水化物をバランスよく取ることが基本です。食事全体のバランスが整っていることが、体の機能を維持する土台になります。

注記:「温活商品」「冷え対策サプリ」について
「温活」「冷え対策」をうたう商品やサプリメントは多く販売されていますが、それらが妊娠率や冷えの不快症状に影響を与えることを示した科学的根拠は現時点では確認されていません。購入・使用を検討する際は、効能をうたう表現をそのまま受け取らず、気になる場合は主治医や産婦人科医に確認することをおすすめします。

月経痛・月経不順が強いときは、婦人科への受診を

冷えの体調管理とは別に、以下に当てはまる場合は、婦人科・産婦人科への受診を検討してください。

  • 月経痛が強く、市販の鎮痛剤を飲んでも日常生活(仕事・家事・学校等)に支障が出ている
  • 月経周期が大きく乱れている(周期が40日以上、または24日未満が続く等)
  • 生理以外のタイミングで出血や強い下腹部痛がある

これらの症状の背景には、子宮内膜症・子宮筋腫・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、診断と治療が必要な疾患が関わっている場合があります。「冷えのせいかな」と自己完結せず、一度専門家に診てもらうことが大切です。

不妊の検査・治療を受けている方で、体調管理について専門的なアドバイスが欲しい場合も、担当医に相談することをおすすめします。

まとめ

  • 「冷えが不妊の原因になる」という主張は、公的機関の情報では科学的に支持されていない
  • 「温活で妊娠しやすくなる」を直接示した信頼性の高い研究も現時点では確認されていない
  • 冷えが続くと月経痛・月経不順・疲れ・むくみなど日常の不快症状につながることはある
  • 入浴(38〜40℃のぬるめの湯船に10〜15分)・服装(首・手首・足首・お腹まわりを温める)・運動(ウォーキングや軽いストレッチを1日10〜20分)・食事(温かいものを取り入れ冷えすぎを避ける)の4つが、日常でできる体調管理の基本
  • 月経痛・月経不順が強い場合は自己判断で様子を見続けず、婦人科・産婦人科を受診する
  • 温活商品・サプリに妊娠率や不快症状への科学的根拠は現時点では確認されていない

冷えの不快感が気になるときは、ぬるめの湯船に浸かる・首元を一枚羽織るなど、今日できる小さなことから始めてみてください。「妊娠のため」と気負わず、自分が快適に過ごせることを目安にするのが、長く続けるコツです。

よくある質問

Q1. 冷え性だと妊娠しにくいのでしょうか?

現時点では、冷え性と妊娠のしやすさの直接的な因果関係は、厚生労働省や日本産科婦人科学会などの公的機関によって科学的に支持されていません。冷え性だからといって、それが不妊の原因であるとは言い切れません。不妊に関する悩みは、産婦人科・不妊専門クリニックへの相談が出発点です。

Q2. 温活をすれば妊娠しやすくなりますか?

「温活によって妊娠率が上がる」ことを直接示した信頼性の高い研究は、現時点では確認されていません。体を温める習慣は、月経痛・疲れ・むくみなど冷えの不快症状を和らげる目的で取り入れることには意義があるかもしれませんが、妊娠しやすさへの直接的な効果として期待しすぎないほうが、過度な不安や出費を防ぐ観点から安心です。

Q3. 「子宮を温めると着床しやすくなる」と聞いたのですが、本当ですか?

「子宮を温めると着床しやすくなる」という主張は、現時点では科学的な根拠が確認されていません。着床に関わる要因(子宮内膜の状態・ホルモンバランス等)については、産婦人科・不妊専門クリニックで検査・相談することができます。気になる場合はまず医療機関へご相談ください。

Q4. 月経痛や月経不順がひどいとき、婦人科に行くべきですか?

月経痛が鎮痛剤を使っても日常生活に支障が出るほど強い場合や、月経周期が大きく乱れている場合は、婦人科・産婦人科を受診することをおすすめします。背景に子宮内膜症・子宮筋腫・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが関わっている可能性があるため、自己判断で様子を見続けず、専門的な診断を受けることが大切です。


本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言や診断ではありません。体調や治療に関する判断は医療機関にご相談ください。制度・費用・保険の内容は変わることがあるため、最新の情報は公式の案内でご確認ください。

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